離婚するはずが、エリート警視は契約妻へ執愛を惜しまない~君のことは生涯俺が守り抜く~
エピローグ
エピローグ
永嗣さんが無言になったから、私はちょっと戸惑った。……似合わなかっただろうか? ウエディングドレスは信じられないくらいの賛辞が浴びせられたというのに、お色直しの真っ赤なカラードレスを見て、警察官の儀礼服姿の永嗣さんは無言で私の前に立ち尽くしているのだ。
「……似合いませんか?」
ドレス姿は当日の楽しみにしたい、と衣装選びには参加しなかった永嗣さん。「ゆっくり選んでくるといい」って私の代わりに「面倒を見て」くれていたせいもあるけれど……
「派手すぎました……」
恥ずかしくなって私はひとり、頭を下げる。
結婚式場の新婦控室。
真っ白なウエディングドレスから、お母さんが「似合う」と太鼓判を押してくれた真っ赤なドレスに着替えたのだけれど……ああやっぱり、華麗すぎるこれは似合わなかったみたい。
しゅんとする私の両手を、永嗣さんが包む。
「違う」
その声に、顔を上げた。
「似合いすぎて。愛おしすぎて。俺のものになったのだと、いざ目の前にすると」
「……? 私はずっと永嗣さんのものですよ」
ぐっ、と彼は黙ったあと、自分の眉間を揉んだ。
「風香。時間がない時に煽るんじゃない」
「へ!? あ、煽ってなんか」
「ああ、ずっときみは俺のものだ」
愛おしい奥さん。
そう言って彼は私の手を持ち上げ、さっき交換したばかりの結婚指輪にキスを落とす。