妄想腐女子の恋愛事情  倉橋琴音と影山海里
「そこのカルチャースクール
やっていたなら、簡単な経理もできるな。
字もきれいだし」
そう言って、手書きの履歴書に
目を落とした。

「君は司書の資格もあるのか・・
本が好きなのか」

「はい、本は好きですが、
あの・・・お名前をまだ、
伺っていないのですが・・」

とにかく面接試験は、合格らしいのだが・・・
この男は、いったい誰なのだ?

「あ、俺?
景山海里・・ここの経営者で
指導者、
生徒は、景山先生って呼ぶけど・・」
影山先生は、前髪をかきあげた。

「別にここの教師は、俺だけだから・・」

琴音は、そのしぐさに
目がロックオンしてしまったが

「はぁ・・そうなんですね」
と、答えた。

ようやく、この塾は、
この景山海里が一人で経営して、
授業以外の雑用を、琴音がやる
という構図に、なっている事を理解した。

「あと、小テストの簡単な丸つけなんかも、手伝って欲しい」

景山は、業務内容の説明をし終わると、ほっとしたように微笑んだ。

目じりが少し下がり、
優しげな感じになる。
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