妄想腐女子の恋愛事情  倉橋琴音と影山海里
香山教授も、こんな風に微笑むのか・・・
琴音は、またもやBL妄想が走り出すのを、何とか抑え込んだ。

琴音は妄想腐女子だが、
現実もしっかりわきまえている。

まだ、肝心な事を聞いていない。

「あの、時給は、いかほどでしょうか」
景山は、ふうんと首をひねった。

「今のカルチャースクールの
時給の2割り増しでどうか?
勤務時間も同じでいい。」

琴音は心の中で
<やったぁ>と叫びながら、
うなずいた。

とにかく、収入が増えるのはありがたい。
BL本も買える。

「それから、短期募集とあったのですが・・
期間はいつまでですか?」

景山は頬杖をついて、窓の外を見た。

「実は、そこの駅前に
大手の学習塾が進出しちゃって、
生徒募集がきつい状態だ。

それで、3月にはここを閉める
つもりでいる」

景山の淡々とした説明に、
経営難はどこもおなじようなのだな・・

琴音は、小さなため息をついた。
3月までには、まだ時間がある。
できることはやろう。
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