妄想腐女子の恋愛事情  倉橋琴音と影山海里
彼女も、少し恥ずかしげだが、
同じように視線を向けている。

二人は、見つめ合っている。

エレナ・・愛している・・

香山教授の低くささやくような
声が、トキの脳内に流れ込んだ。

「ああ・・」

トキが、苦し気に息を吐いた瞬間だった。
携帯のバッテリーが空になり、
画面が落ちて黒くなった。

トキの能力の副産物なのか、
トキの周囲の電化製品は、
よく誤作動を起こす。

それは感情の波と、リンクする
らしい。

あんな風に見つめられてみたい・・・
それはかなわぬ夢だが・・・

トキは、急いで書類の中に携帯を混ぜ、元のように机に置いた。

バタン

その時だった。

「トキ、準備ができた。
来なさい」
香山教授が、ドアを開けて、
抑揚のない声をかけた。
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