妄想腐女子の恋愛事情  倉橋琴音と影山海里
琴音はほっとして、
パーテッションで、仕切ってある事務室に戻った。

「Xを代入してからな・・
このグラフの交点を・・・」

パーテッションの向こうで、
数式を説明する、景山の声が
聞こえる。

琴音は音を立てないよう、
事務机の整理をはじめた。

景山は、整理整頓が苦手なようだ。

レシートやら、新聞紙、チラシ、
生徒のプリント、請求書

なにもかもが、グチャグチャに
置いてある。

女の子たちの言葉が、脳裏をかすめる。

すごく、頭がいい・・
すごく、きれいな彼女・・

トキが見た、
香山教授の携帯の美しい女性の
画像と、シンクロする。

香山教授なら・・・

琴音の妄想が、走り出す暇がなかった。

なぜなら、パーテッションの
向こうが、急に騒がしくなったからだ。

時計を見ると、
一コマ目の授業が終わり、
15分の休み時間のようだ。

生徒たちは、おにぎりや
コンビニで買った弁当を、
食べはじめた。
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