妄想腐女子の恋愛事情  倉橋琴音と影山海里

琴音の告白

<琴音の告白と古傷>

「私、20代前半で、
まだ世間知らずでした。

その時、
職場で好きな人ができて・・
つきあって、結婚直前でフラれたんです。

その人は、私の相談相手になってもらっていた、職場の親友と、
結婚してしまいました。

それがきっかけで、仕事を辞めました。」

琴音は、よくある話だと言わんばかりに、古傷を語った。

「その現実が、なかなか受け入れられなくて・・・

ハッピーエンドのオフィスラブ
なんか、くそくらえって思って。
恋愛本が読めなくなりました。

最初は、現実逃避の、
異世界ファンタジーばかりを、
読んでいました。」

景山先生は、
黙って机の引き出しから、自分が飲むはずであろう、
缶チューハイを取り出すと、

プルトップを引き抜いて、
琴音の前に差し出した。

「ああ、ありがとうございます」

琴音は、グビッと飲んだ。

そう、こんな古傷話は、
酒の勢いがなければ語れない。

「魔法使いとか・・
異世界ものを、あさっていたのですが・・・

気が付いたのです。
異世界でも、恋愛の構図は同じだって」

「恋愛の構図とは?」

景山先生は、興味深げに琴音を
見た。
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