妄想腐女子の恋愛事情  倉橋琴音と影山海里
さすがに、妄想しているとは言いにくい。
琴音は、缶チューハイを一気飲みした。

これでカミングアウトは、
終了だ。

それから、目の前の景山海里を、
まじまじと見つめた。

小説家・・作家さん・・
官能小説・・・?
どのような作品を、書く人なのだろう。

景山を見て、香山教授の妄想に
ふけるのは、違うかもしれない・・・

別のキャラ、別のお話だ。

官能小説作家と、彼の熱心な
読者の純愛とか、溺愛とか。

「君の解釈は新鮮だな。
おもしろい。」

景山先生はそう言うと、
換気扇をつけに、立ちあがった。

それを見て、琴音は現実に戻り、
BL本を隠すように、素早く膝に置いた。

「明日は、
確定申告の領収書の整理をします。
何かまだありましたら、
出しておいてくださいね」

景山はニヤリと笑った。

「君のおすすめの本を、貸して
ほしい」
< 40 / 67 >

この作品をシェア

pagetop