妄想腐女子の恋愛事情  倉橋琴音と影山海里
琴音はひきつり笑顔で、
冗談ぽく言ってみた。

「先生、私のBLごっこに、
付き合ってくれないでしょうか?」

「はぁ?」
景山海里の頭の上に、
?????が、山ほど浮かんでいる。

琴音は一瞬、唇をかんだ。
馬鹿な事を、言ってしまった。

<あははははは・・>
<もちろん冗談ですよぉ>

と、言える余裕を、残しておくべきだった。

30歳過ぎて、痛い人と思われるのは、さすがにキツイ。

琴音は、泣き笑いのような表情に、なってしまったが、

景山先生に、
さっきまで読んでいたBL本を、差し出した。

「この本の主人公のトキが、
これから死んでしまうのです。」

目の前に立っている、
長身の景山海里があまりにも、
トキの恋焦がれる、香山教授に
激似しているからだろう。

つい、琴音の感情も、
シンクロして、高ぶってしまう。

「このお話の主人公のトキは、
香山教授の事を好きなのですが、
振り向いてもらえない。

でも、自分の想いは伝えてから、死にたい」
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