妄想腐女子の恋愛事情  倉橋琴音と影山海里
「なんか、まだ、
よくわからないが・・
君の情熱は伝わる。

俺も一応・・・物書きとして
君の構想に参加するのは、
おもしろいかもしれないな」

景山海里は、
妄想の世界を、必死に説明しようとしている琴音を見て、考えていた。

倉橋琴音は、物書きではない。

しかし・・
強い感情、思い入れのある
読み手である事を知った。

自分の作品には、あのように、
発想を広げる読者が、存在するのだろうか・・・

今までの景山は、読み手に
そこまで、興味を抱かなかった。

消耗品としての読み物・・・
おもしろければ、それでいいと
思っていた。

琴音の作品に対しての
強い思い入れ、いや思い込みは、
正直、驚きだ。

読み手が2次創作として、
別の楽しみ方をするのも、
衝撃的だった。

「それで、俺は、何をすればいい?」

景山は、琴音の顔を見た。
ついに、景山が落ちたのだ。

「私はトキになりたいのです。
そして、景山先生が、香山教授の役になってください。」

琴音は、期待を膨らませて

「死の予感を持つトキが、
香山教授にせまって、告る場面をやりたいのです」

今日の琴音は、饒舌だ。

琴音は、教室の椅子に座り、
自分の妄想BLシナリオを、
景山に語り始めた。
< 51 / 67 >

この作品をシェア

pagetop