妄想腐女子の恋愛事情  倉橋琴音と影山海里
男子高校生に近いイメージに
したい・・・
と、琴音は思っていた。

「今日はお付き合いいただき、
ありがとうございます」

琴音は、丁寧に頭を下げた。

「その・・俺はどうすれば・・
いいのか?」

景山の、その戸惑いぎみの
質問に、琴音はトンと隣りに座った。

「本日の設定は・・
トキが、自分の恋心を告白する
つもりですが、

香山教授は、まったくトキの
気持ちに気が付いていない。

トキのスランプ脱出のために、
どうしたらいいか、
香山教授は悩んでいるのです。」

琴音は立ち上がった。

「香山教授は、自分の実験を
うまく進めるために、
わざわざ出張ったわけだからな」

景山の言葉に、
琴音は指を組んで、前に伸ばして、ストレッチするような動作をして

「そうですねぇ。
手も握らない、組まない、
ただ並んで歩くだけですけど、

トキには、こうやって実験室以外の場所で、教授と二人だけでいる。
それが幸せって、感じですかね」

琴音は、自分の言葉に満足げに
笑った。

すでに脳内妄想が、
もわもわと膨らんできている。
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