妄想腐女子の恋愛事情  倉橋琴音と影山海里
「誤解の無いように、
と言っても、誤解されるが・・・
あいつは、俺の弟なんだ。

ふざけているか、あいつの嗜好性か、わからんが、
時たま、あの格好で様子を見に来る」

琴音は開いた口が、ふさがらなかった。
「弟さん・・なんですかぁ・・・」

琴音は、脱力したように、
廊下の段ボールの上に、座り込んだ。

景山海里の言葉を、反芻してみる。
同居って、同棲になるのか?

景山海里は高額物件だと、
あの美形女王様は(のたまわ)った。

「こんちわぁー、引っ越し屋ですが」
作業着姿の若いお兄ちゃんが、
声をかけた。

「お願い・・してもいいですか?」
琴音は、恐る恐る景山を見た。

取りあえず、段ボール6箱は、
お願いしたい。

景山は、笑ってうなずいた。
「また、トキと香山教授の続きをやろう。
久しぶりに面白かったな」

琴音は腐女子だが、現実もわきまえている。
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