イケメン高校教師なんて嫌いだったのに・・・。
 フッと我に返った。

『あー、今、先生といたんだった。』
 
 先生は何も言わず隣にいてくれた。
 展望台でもそうだった。

 先生の優しさなんだと思う。

「次行く?」
「はい。」
 手を繋ぎ、引かれた。
「先生、これはまずいんじゃ?」
「先生はやめて。そうまってよんで。かなちゃん。それで、俺は今日の君を買った。だから、俺のしたいようにする。」
「せん・・・そうまさん。」

 手を繋いだまま、歩いていた。
 先生の手は大きく、私の手を包み込んでくれるようだった。
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