魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
「お母さんも行こうかしら! 入学前に、お父さんに必要なもの全部買ってもらいなさい」



その会話を聞いて、内心ほっとする。

お父さんとお母さん、星蘭が買い物に行くなら……私は家でひとりになれる。

家に置いてもらっている立場でこんなことを思うのは失礼だけど、ひとりは気が楽だから好き……。

私は星蘭にもらった筆箱を持って、一旦部屋に戻った。

使い古した筆箱の中身を、新しい筆箱に移す。

学校でもらったシャーペンや、星蘭がいらなくなってくれたペン、そろそろ持てなくなりそうな短さの鉛筆。

中身が全てなくなると、当たり前だけどとても軽くて、よくここまで持ちこたえてくれたなと筆箱に感謝する。

長く使っていたものだから……思い入れがあるなぁ。

捨てるなんてできないから、机にしまっておこう。

忘れないように、新しい筆箱をカバンに入れる。

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