魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
婚約破棄
ルイスさん……放課後ふたりで過ごそうって言ってくれたけど……。
あの約束はまだ、有効なのかな……。
結局、私がいなくなったあとの級長室で、ふたりがどんな会話をしたのかはわからないままだった。
HRが終わって、廊下のほうを見る。
あっ……ルイスさん……。
来てくれないかもしれないと思ったから、教室に入ってきたルイスさんの姿にほっとした。……それも、つかの間だった。
無表情のまま、私の前で立ち止まったルイスさん。
「用事ができた。出かけるのは今度だ」
これまでの優しいトーンではない、冷たい声色。
ルイスさんは再び歩き出したと思ったら、今度は星蘭の前で立ち止まった。
「星蘭、話がある。来い」
「はいっ……!」
え……?
嬉しそうに立ち上がった星蘭。
「バイバイ、お姉ちゃんっ」
私に笑顔を向けて、星蘭はルイスさんのあとをついていった。
教室を出ていくふたりを……私は見送ることしかできなかった。