魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
ショートケーキは見ないふりをして、食材を取り出した。

朝食を食べ終わった頃、お母さんが起きてきた。

私はできるだけお母さんの視線に入らないように、リビングをあとにする。

着替えを済ませた頃、「星蘭、起きなさい」というお母さんの大きな声が聞こえた。

星蘭、まだ起きなくて平気なのかな……。遅刻をしないか心配になったけど、星蘭はお母さんたちと車で行くって話していたのを思い出した。入学式だから、お父さんもお母さんも出席するみたい。

車なら、十分間に合うだろう。

そう思って、ひとりで先に家を出た。

聖リシェス学園までは、家から徒歩40分。

家の近くからバスが出ているけど、歩くのは好きだから徒歩通学は苦じゃない。

いい天気……。

太陽が、背中を押してくれているみたい。

新しい学園生活に、少しだけ希望が見えた気がした。








「うわあ、大きい……」



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