魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
『ブランであなたみたいな人、初めて見ました! ブランだけじゃないです!』



優しい……。そんなふうに、言われたことはなかった。

私はいつだって悪女と言われてきたから。



「ありがとうございます」



言われ慣れていなくて嬉しいという気持ちと同時に、切なさがこみ上げる。

私は優しくなんてない。妹の幸せを素直に喜べない、噂通りの嫌なお姉ちゃんだから。



『……』

「着きました……! この門を越えればノワール学級です!」



ようやくブランとノワールを隔てる場所に着いて、そっとハンカチを取る。



『ありがとうございます……! 助かりました……!』

「いいえ、早くご主人さんに会って、怪我を治してもらってくださいね」

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