魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
運命は動き出す
【side ?】
使い魔。文字通り、使役することのできる魔物のこと。
絶対的主従関係にあり、使い魔は主人に忠誠を誓い、その能力を行使する。
……はずだが、俺の使い魔のラフは俺の役に立つ以上に、俺の手を煩わせている。
今も、通りすがりの雌の鳥を追いかけて、どこかへ消えて行った。
あの方向はブランの学級だ。
あいつはよくブランで迷子になっては、その度に、傷を負って帰ってくる。
今回もどうせ、ブランの奴らに見つかって散々な目に遭わされるに違いない。
生きて帰ってくればなんでもいいが、万が一、勝手に力つきることのないように目をつむって使い魔の視界を共有した。
俺はラフを通して、ラフの視界を見ることができる。
案の定、今はブランにいるのか、白を基調とした建物の内装が映った。
方向音痴なあいつがノワールに帰ってくるには、ずいぶん時間がかかりそうだとため息を吐いた。
『うわっ……! 何よこの鳥……!』
ラフが迷い込んだ部屋に、ひとりの女の姿が。