魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
わざわざ案内するつもりなのか、女はノワールの方向へ歩きだした。

……まさか、こんな人間がいたとは……。

ブランだからと、ひと括りにしたことを素直に反省した。

嘘に敏感だからこそ、こいつが純粋にラフを心配してくれていることがわかる。



『案内するので、私の肩に乗ってください』



女はラフに、そっとハンカチをかけた。

多分ラフも、ここまで丁寧に扱ってもらえるとは思っていなかっただろう。

俺も……わざわざブランに行く手間が省けた。

だが、やはり今からでも行くべきか。

この女に……直接会ってみたい。

異様なほど、この女に興味が湧いた。

こんなにも知りたいと思ったのも……何かを綺麗だと思ったのも、初めてだったからか。



『もうすぐですからね』

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