魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
その笑顔に、俺の心臓に強い衝撃が走る。



「ラフは見つかりましたか?」



後ろから声が聞こえて、我に返った。

目を開けて、自分自身の視界に戻す。



「ああ、もう帰ってくるだろう」

「そうですか、よかった。また怪我をしていなければいいですね」



そう言って胡散臭い顔で笑っているのは、一応、俺の従者である竜牙。

竜族の末裔で、優秀ではあるが何を考えているのかわからない男。

一応味方だと言い切れる奴ではあり、信用はしている。



『ご主人……!』



……戻って来たか。

傷を負ったラフが、窓から入って来た。



『か、回復を……』



滑り込むようにソファに着地し、ぐったりと倒れている姿を見るに、限界だったんだろう。

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