魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
姉と妹
【side ルイス】
入学式で疲れ、ひと息つくため非常階段に行った。
先客の女がいて、そいつが振り返った時……そいつの姿を見て、天使が舞い降りたのかと本気で思った。
一目惚れだった。
他に……説明のしようがないほど。
「俺と、婚約してくれ」
今すぐに俺のものにしたいと思った。
バカバカしいと思っていた婚約制度も……この時のために用意されていたのかと、あれだけあざ笑っていた「運命」という言葉を信じたんだ。
こんな――女のために。
鈴蘭がとんでもない女だと知ったのは、婚約を結んだ翌々日だった。
「そうか……気にしなくていい。用事があるなら済ませて来い」
昼食を取っている最中、鈴蘭は教師に呼び出されていたらしく、席を立った。