魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
「は、はい……失礼します……」
鈴蘭がいなくなり、息を吐く。
終始浮かない顔をしていたな……。
料理もずいぶん食べるのが遅いと思っていたら、嫌いだったのか……。
あいつの好き嫌いを把握しておかなければ。
いや、克服させるべきか……?
俺の婚約者になるんだ。社交の場に連れて行くこともあるだろうから、今のうちに苦手なものはなくしておいたほうがいい。
「ごめんなさい、お姉ちゃんが……」
妹として謝っているつもりなのか、上目遣いで見つめてくる星蘭。
こいつのこの表情……媚びてくる女たちと重なって、少し不快だ。
「お前が謝ることではない」
鈴蘭の妹だから同席させたが、できれば関わりたくない。
昔から、女は嫌いだったから。