魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
パチパチと頬を叩いて、気合を入れる。

だけど、逆にそれが惨めに思えて、また悲しくなった。

お弁当を膝に置いたまま、今日は少しだけどんよりしている空を見上げる。

気分が晴れるわけではなかったけど、空を見ていると気持ちが落ち着いた。

私の視界に、空を飛ぶ白い鳥が映る。

昨日の鳥さんは、無事かな……。

カラスではない、真っ黒な鳥さんの姿が脳裏をよぎった。

言っていたご主人さんに、傷を治してもらえていたらいいけど……。

傷も深かったから、もしかしたら、もう飛べなくなっていたり、しないかな……。

どうか、無事でありますように……。

目をつむって祈りを捧げた時、強い風が吹いた。

今日は風は穏やかだったはずなのに、突然吹きだした強風をしのぐように顔の前に腕を持ってくる。


< 180 / 324 >

この作品をシェア

pagetop