魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
「い、1年です」
「新入生か……もう学園には慣れたか?」
「少し……」
「そうか」
声色は穏やかだけど、表情が見えないからどんな顔をしているのかわからない。
「わからないことがあれば、いつでも聞け。……まあ、ブランについては俺も詳しくないが」
まさかそんな優しい言葉をかけてもらえるとは思わなくて、フードさんの言葉が胸の奥にじんわりと響いた。
星蘭から、他の生徒の前ではにこりとも笑うなと言われているけれど、フードさんは清掃員の方って言っていたし……きっと大丈夫だよね……。
「ありがとうございます」
ぎこちないものだろうけど、フードさんに精一杯の笑顔を返す。
さっきまでひとりきりで落ち込んでいたのが嘘みたいに、私の気持ちは高ぶっていた。