魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
誰かがそばにいてくれるだけで、こんなにも楽しいんだと知った。






お弁当を食べ終わって、そろそろ予鈴が鳴る時間。

ふたりはずっと私の隣にいてくれて、お弁当を食べながら度々質問をされてはそれに答えていた。

私も、フードさんのことが知りたい……。

だけど、顔を隠しているってことは、何か事情があるのかもしれないし……私からは何も聞かないほうがいいかな……。



「そろそろお昼休み、終わりますね……」



寂しいけど、教室に戻らなきゃ……。



「それで、礼は?」



まだそのお話は有効だったのか、話題が戻ったことに驚いた。

律儀なフードさんに、笑顔を向ける。



「もう十分です」

「ん?」

「お昼休みを一緒に過ごしてくれて、ありがとうございました」



< 189 / 324 >

この作品をシェア

pagetop