魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
こいつ……俺に散々バレるなと言っておきながら……。



『し、失礼しました……! わたしのご主人で、ノワール学級の警備をしている方です!』

「昨日は……ラフが世話になった」



鈴蘭は恐縮しながら、首を横に振った。



「お前に礼がしたい。何か欲しいものはあるか?」



ここに来る口実でもあったが、礼をしたいのは本心だ。

望むものは、なんでも差し出そう。

家でも車でも島でも……大金でもいい。

こいつが望むもので、俺が用意できないものはきっとないだろう。



「い、いえ。お礼なんて必要ありません」



何を言われてもかまわなかったが、鈴蘭は申し訳なさそうに断ってきた。



「そういうわけにはいかない。欲しいものがあるならなんでも言ってみろ。用意する」



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