魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
遠慮なんてしなくていい。

人間が欲まみれなことはわかっているし、当然のことだ。

欲しいもののひとつやふたつ……口にすればいい。

俺も、使い魔を助けられて、礼もしないとなれば格好がつかないからな。

そして何より……鈴蘭に気に入られたいと思っている自分がいた。

こいつの気をひくためならば、なんだって用意してみせよう。



『ご主人……! 鈴蘭様が困っております!』



ラフに言われて、初めて気づいた。



「……悪かった、困らせたいわけじゃない」



ただ……喜ばせたかっただけだが、うまくいかなかったようだ。



「いえ……」



鈴蘭も恐縮してしまっていて、どうすればいいかわからなくなった。

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