魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
「お話できて楽しかったです……! ありがとうございました……!」



その笑顔に見惚れて、引き止める言葉も出なかった。



『鈴蘭様は、変わったお方ですね……』



ラフの声に、ようやく我に返る。



『ご主人の正体がわかっていたなら、お礼を言うのも頷けますけど、ただの青年と鳥と話しただけでお礼を言うなんて……それに、ご本人はすごく嬉しそうでしたし……』



ラフの言う通り、鈴蘭は最後、とても幸せそうに笑った。

ほんの少しの時間、得体の知れない男と、鳥1羽と過ごしただけで。

そんな時間ごときにあんな笑顔を差し出すなんて……あいつは自分を安売りしすぎている。



『ご主人、これからどうするんですか?』

「……欲しい」



< 204 / 324 >

この作品をシェア

pagetop