魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
隠すのを忘れていたけど……フードさんに見られたくなかった。

私のお弁当は、白米と卵焼きと、キャベツしか入っていないから。

量はこれだけで十分だけど、質素で可愛げのないお弁当を見られるなんて恥ずかしい。



「は、はい」

「……」



何か言いたげに、こっちを見ているフードさん。



「ずいぶんやせているように見えるが……食事はまともにとっているか?」



フードさんの言う通り、私はガリガリだ。食べるのは好きだけど、食べていいものは決まっていたから、我慢していた。

だけど、健康には支障はないだろうし、栄養はちゃんと摂っているはず。

一度、お母さんを怒らせてしまって、ご飯を食べさせてもらえない時があったから……それと比べれば、今は十分もらっているほう。


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