魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
頷くと、「そうか……」という低い声が返ってくる。

少しの間、沈黙が流れる。

無言のままのフードさんに、不安になった。



「あの、ごめんなさい」

「ん?」

「私、面白いことが言えなくて……」



人と話したことが少ないから……こういうとき、何を話していいのかわからない。

せっかく一緒にいてもらってるのに……。

社交性のかけらもない自分が、情けなくなった。



「どうして謝る? 俺はいたくてここにいる」



自己嫌悪に陥る私に、優しい言葉をかけてくれるフードさん。



「面白い話をしようとは思っていない。お前の話が聞きたいだけだ」

「私の……?」

「ああ。お前のことが知りたい」



知りたいと言ってもらえたのは、人生で2回目だった。



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