魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
『お前のことをもっと知りたい。ふたりで過ごそう』



ルイスさんの顔が脳裏をよぎって、突然不安に襲われる。

フードさんも……私のことを知ったら……離れてしまうかもしれない……。

嫌われてしまう日が、来るのかな……。



「何が好きだ?」



まるで子供に問いかけるような、優しい声色。

……この人には……嫌われたくない。

ぎゅっと、お弁当箱を持つ手に力がこもった。



「読書が好きです。動物や、花も……」

「そうか……どんな本が好きなんだ? 動物も、花も、詳しく聞かせてくれ」

「えっと……」



自分自身に興味を持ってもらえたことが嬉しくて、だけど何から話せばいいかわからず混乱してしまう。



「ゆっくりでいい」



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