魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
「はい」

「そうか……」



何やら、さっき以上にまじまじとお弁当を観察している。

私のお弁当は見栄えがよくないし、見ても何も面白くないと思う。

それに、こんな質素なお弁当を見られるのは恥ずかしかった。

もしかして……お腹が空いているとか……?

フードさんはいつも私と会った後に昼食をとっているそうだから、その可能性が高い。



「卵焼きでよければ、食べますか……?」



もっといいものをあげたかったけど、このお弁当で一番ましなのは卵焼きだ。



「いいのか?」

「はい」



お口に合うかわからないけど、フードさんにならお弁当ごと差し出したっていい。

私はそっと卵焼きをお箸で掴んで、フードさんの口元に持っていった。



「どうぞ」



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