魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
【Ⅲ】執着の王子
一輪の花
【side 夜明】
「フードさん……!」
俺を見て、笑顔で駆け寄ってくる鈴蘭。
そんなにか弱そうな体で走って……転んだら大変だ。
心配しながら、駆け寄ってくる鈴蘭を見つめる。
走ってくる鈴蘭を、このまま抱きとめてしまいたくなった。
俺の前で立ち止まった鈴蘭は、相変わらず愛らしい笑顔のまま。
とんでもない可愛さだ……。
えらく上機嫌だが何かあったのか……?
「どうした? ずいぶん嬉しそうだな」
そう聞けば、俺の言葉に恥ずかしそうに視線を下げた。
その愛らしいことと言えば……俺の心臓はいつものように、激しい衝撃を受けた。
この世にある言葉をどれだけ並べようとも、鈴蘭の可愛さを表すことはできない。
俺に頭を抱えさせるのは、お前くらいだ。
鈴蘭と出会ってから、早1週間。
日々共に過ごし、鈴蘭のことを知れば知るほど、その魅力の虜になった。