魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
世界中どこを探したって、こんなにも愛らしい人間はいないだろう。
俺の世界はもはや、鈴蘭一色に染まっていた。
「お弁当、急いで食べます!」
「ゆっくりでいい。気にするな」
いつも俺に気を使って、急いで食べている鈴蘭。
急いでいる……のは十分伝わってくるが、口が小さいからか食べるのには時間がかかるらしい。
俺は鈴蘭が食べている姿を見ているだけで満足だったから、急ぐ必要はない。
今日も一生懸命食べている姿に、胸を打たれた。
ただ……数日一緒に過ごして、気になることがある。
「いつも同じ弁当だが、食に関心がないのか?」
鈴蘭の弁当は驚くほど小さく、そしていつも同じものが並んでいた。