魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
俺は食には関心がないが、間違いなく今まで食べたものの中で一番うまかった。

食べたことがない料理だったが、こんなにうまい料理が存在するとは……。

いや……鈴蘭が作ったという先入観があるからこれほどまでにうまく感じるのかもしれない。

俺の感想を聞いて、鈴蘭は安心したように目尻を下げた。

鈴蘭の笑顔は何よりの癒しだが、同時に心配にもなった。



「だが……お前は、もう少し警戒心を持ったほうがいい」



数日間、鈴蘭と一緒にいただけでわかったが、こいつは人を疑うことを知らない。

もし俺が悪い男だったらどうする。



「え?」

「どこの誰かもわからない俺のような男に……」



何より……もし鈴蘭が俺以外の男にも、同じようなことをすれば……耐えられない。

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