魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
「とにかく……調査が終わるまでは、相手の方にはまだ伝えないでくださいね」

「何?」



竜牙の発言は、聞き捨てならなかった。

明日にでも鈴蘭に、婚約の意を伝えようと思っていたからだ。

あいつだって、突然申し込まれても困るだろう。だから、早めに心の準備をさせるためにも、とっとと伝えたほうがいい。



「正式な婚約の申し込みは、きちんと準備が整ってからでないと……!」

「待っていられるか」

「夜明が相手を見つけたのは喜ばしいですが、少し冷静になってください……! それに、彼女も急に申し込まれても困惑するはずです!」

「……」



確かに……一理ある。

友人になったばかりの男に、「お前に婚約を申し込むつもりだ」と言われても……戸惑わせるかもしれない。



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