魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
「マドレーヌ……!」



もちろん、その名称は聞いたことがある。

定番のお菓子で、物語の中でもよく出てきた。

買い出しを頼まれた時に、お店で売られているのを見たこともある。

ただ……どんな味かはわからない。



「何をそんなに驚いているんだ?」

「食べたことがなくて……」

「本気か?」



フードさんが、一瞬顔をしかめた気がした。



「食べてみろ。これはお前の分だ」



私の……?

ダ、ダメ……こんな高級なお菓子、受け取れない……。



「で、でも、フードさんの分が……」

「俺は甘いものは食べない。もらってくれ」



そういえば、フードさんは以前、甘いものは好まないと言っていた。

もしかして、わざわざ私にくれるために持ってきてくれた……?



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