魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
「本当に、いいんですか……?」

「ああ」



私はマドレーヌの入った袋を、ぎゅっと握った。



「あ、ありがとうございます……!」



嬉しい……。

ずっと、食べてみたかったから……。

そっと袋をあけて、ひとつ取り出す。

マドレーヌって、こんな感触なんだ……思っていたよりも生地がしっとりしている。

ゆっくりと、一口かじった。



「美味しいっ……」



思わず、頬が落ちないように手を添えた。



「これ……甘くて、やわらかくて……凄く美味しいです……!」



まさか、マドレーヌがこんなにも美味しいものだったなんて……!



「そうか。気に入ったならよかった」



フードさんは私を見て、口元を緩めた。

私はいつも……フードさんにもらってばかりだ……。

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