魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
星蘭は普段本を読んだりしないけど、高校生になったから読む機会も増えるだろう。

そっとリビングに行くと、星蘭がテレビを観ていた。

お母さんたちの姿はなく、今がチャンスだと思いリビングに入る。



「星蘭……あの、これ……」



しおりを差し出すと、星蘭は眉間にシワを寄せた。



「何よこれ」

「昨日ダメになっちゃった花びらをしおりにしてみたの。よかったら……」

「あたし本なんか読まないし、いらな……あー、まあいいや、もらっといてあげる」



ほっと、胸をなでおろす。

よかった、受け取ってもらえて……。



「あ、ありがとうっ……! それじゃあ、おやすみなさい」



それ以上返事はなかったけど、私は気分よくリビングを出ていった。

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