魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
初めてのプレゼント
フードさんとお友達になって、数日が経った。
その間にゴールデンウィークがあったから会った回数はまだ多くないけど、少しずつフードさんのことを知ることができている気がする。
フードさんは私が問いかけたことに、いつも真剣に答えてくれる。
好きな食べ物や本の話など……フードさんとする会話はなんでも楽しかった。
教室では相変わらず、絶世の悪女として孤立しているけど、今は高校生活を楽しいと感じられるようになった。
今日もいつものように登校して、席に着く。
テスト1週間前に入っているから、読書は少しお休みにして教科書を開いた。
あいている時間は、極力テスト勉強に費やしたい。
それにしても……なんだか教室の中がいつもより騒がしい気がする。
いつもなら誰かしらが私のほうを見てこそこそと噂話をしているけど、今日は視線を感じない。
まるで……それどころじゃないとでも言わんばかりに、みんな取り乱している。
「ねえ、知ってる? 黒闇神様の噂……」
黒闇神様……?
耳をすませると、あちらこちらからその名前が聞こえてきた。