魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
話の内容はよくわからないけど、私には関係ないと思い教科書に視線を戻す。



「黒闇神様に見初められる相手って、どんな人だろう……!」

「女優とか……? あんなパーフェクトな人と婚約できるなんて、羨ましすぎる……!」

「……黒闇神様の話って、ブランでは禁句なんじゃなかったっけ?」



ふと、動かしていたペンを止めた。

後ろから……星蘭の低い声が聞こえたから。


星蘭……?


いつも、教室や他の人がいる前では、笑顔を絶やさず、明るい声を繕っている星蘭。

それなのに……ひと言だけで、怒っているとわかる声色だった。

心なしか、クラスメイトたちの空気が緊迫したのが伝わってくる。



「あ……きゅ、級長には内緒にしてね星蘭ちゃん……!」

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