魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
反動で握られた手が離れていき、彼は不思議そうに立ち上がった。



「ん? 何に驚いている?」



何にって……え? 私の反応がおかしいの、かな……?

でも、婚約って……。

まず、彼が私に一目惚れしたという時点で信じられないのに……その上婚約を申し込まれるなんて……頭の中がパンクして、今にも卒倒しそう。



「この学園では、珍しいことではない」



白神さんの言葉に、首をかしげるしかなかった。



「……まさか、婚約制度について知らないのか?」



初めて聞くその単語。なぜか、私の反応に白神さんのほうが驚いていた。



「君、推薦入学者だろう?」

「は、はい……」

「入学説明会で聞かなかったか?」



説明会中、先生の話が長く眠ってしまった星蘭の分も聞いておかなくちゃと思って、しっかり話は全部聞いていた。

それでも……婚約制度なんて説明はなかったはず……。



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