魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
その口角が、意味深に吊り上がった。



「ねえ、それちょうだい」



一番恐れていた事態になり、血の気が引くのを感じる。



「それ、は……」

「何よ、いいでしょ?」



にやりと微笑む星蘭の笑顔が恐くて、ネックレスを握った。



「あんた、いつもなんでもくれるじゃん。――ルイス様もさ」



そんな、物みたいな言い方……。



「お願い、このネックレスだけは……」



これだけは、取らないで。

フードさんからもらった、大切な物なの。

初めて誰かが、私を想って選んでくれた……プレゼントなの。



「……他の物ならなんでも渡すから、これだけは取らないでっ……」



星蘭に懇願する。



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