魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
「ご、ごめんなさい……! 星蘭、ごめんなさい……!」



痛い……やめ、てっ……。



「星蘭!? 叫び声が聞こえたけど、どうしたの……!?」



叫び声が聞こえたらしく、お母さんまで現れてしまった。

全身が異常なくらい震えはじめて、春なのに凍えるくらい体が冷え切っていた。

この先、自分の身に何が起きるのか、容易に想像ができたから。



「お母さん……こいつが殴ってきたの……」

「なんですって……!!」



顔を真っ赤にして、私を見下ろすお母さん。

怒りからか、目も充血している。

息が浅くなり、視界がぼやけはじめる。



「何してるのよ!!︎」



痛みを堪えるために、自分の体を抱きしめた。

星蘭よりも強い力。お母さんの一撃一撃に、私への憎悪が込められている。



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