魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
陶器が割れる音が、静かなラウンジに響く。



「その調査員はクビにしろ。鈴蘭がこんな女なわけがない」



俺はこんな調査結果は認めない。

この目で見て、同じ時間を共有したからこそわかる。

鈴蘭はこんな愚かな行為をする女ではない。この命に代えて、誓ってもいい。

というか、これは噂話の一種か……?

鈴蘭はこんな冤罪をかけられているのか……?

あいつの身の周りで、一体何が起きている?



「……認めたくないのはわかります。でも、これが結果です」



淡々と繰り返す竜牙に、俺はただただ失望した。



「……お前は信じるんだな?」

「結果が全てです。うちの優秀な調査員が、虚偽の報告をするとも思えません」



確かに、司空家の調査員は優秀な魔族が揃えられている。……はずだった。
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