魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
「俺は鈴蘭をその紙切れに書かれているような人間ではないと言っている。お前は俺と調査員の言葉、どちらを信じる?」
「気持ちはわかりますが……彼女は……」
「質問に答えろ」
ぐだぐだと煮えきらないことばかり言っている竜牙の言葉を遮り、そう問いかけた。
竜牙は一瞬俺を見たあと、気まずそうに視線を下げる。
「私は、調査結果が正しいと思います」
そうか……。
竜牙は優秀な人間だ。俺がそばにいることを許していたほど。
だが、俺も過信していたらしい。
「ならばもういい。金輪際俺に近づくな」
俺の言葉を信じない従者など、必要ない。
鈴蘭を疑う人間など……俺のそばから失せろ。
「夜明? それは……」