魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
あいつが悪女というなら……あいつをそう呼ぶ世の中が狂っている。

何か、陰謀があるに違いない……。

鈴蘭がそう呼ばれるようになった要因が。



「ラフ、頼めるか」



俺の言葉に、ラフは目を光らせた。

本当は……鈴蘭に対して、ラフの能力を使うことは避けたかった。勝手に記憶を見られるのは鈴蘭も嫌だろう。プライバシーもある。

だが……今回ばかりは、ラフの力に頼るしかない。



『任せてくださいご主人! 今がラフの能力の見せ所でございます!!︎』

「頼んだ」



方向音痴なあいつが、まっすぐにブランの方向へと飛んでいく。

今日ほど、ラフの存在を頼もしく思った日はない。

あいつが鈴蘭から記憶を写し取ってきてくれれば……全て判明する。

やはり、あいつは最高の使い魔だ。



< 315 / 324 >

この作品をシェア

pagetop