魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
「夜明、私もこんなことを言うのは心苦しいですが……あなたは騙されています。彼女は……」

「司空」



勝手に話しはじめた愚かな魔族の名前を読んで、話を止めた。



「さっき、俺は黙れと言ったんだ。頼むからそれ以上何も言うな」



今は、お前の声すら聞きたくないんだ。



「燃やし尽くしてしまいたくなる」



いつもなら魔力をコントロールできるが、今日はタガが外れそうだ。

あと少しでも刺激されれば……自分がどうなるかもわからない。

この世で最も愛おしい存在を否定され、自分を抑えられそうになかった。



「夜明……長年連れ添った俺よりも、彼女を信じるというんですか?」



喋るなと言った俺の言葉が聞こえないのか、こいつは。

まあいい、これが最後だ。答えてやろう。



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