魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
「お前が長年積み重ねてきた俺の信頼を、一瞬にして壊したからな」



お前のことは信頼していた。……数刻前まではな。



「出ていけ」



こいつのほうを見ることもせず、それだけ言った。その顔を視界に入れるのも苦痛だった。



「……失礼します」



俺の怒りを察したのか、ようやく出ていったあいつ。

俺は怒りを鎮めるため、大きく息を吐いた。

今はラフの帰りを待つ。ラフの記憶さえあれば、俺が鈴蘭の無実を証明できる。そうすれば、誰も鈴蘭を疑わないだろう。

最も恐れられている悪魔の能力を疑うような愚か者はいない。

鈴蘭……今頃お前は、どう過ごしている。

ブランで非道な扱いを受けているのではないかと思うと、心配でたまらない。

全ブラン生を、今すぐ抹消してやりたくなった。




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