魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
聖リシェス学園
『お前は今日から、名実ともに俺の婚約者だ』
本当に……私が彼の、婚約者になったのかな……。
あのあと、逃げるように走って非常階段を飛び出した。
あのまま一緒にいたら、幸せのあまり泣いてしまいそうだったから。
驚きすぎて現実を受け入れられなくて、結局、図書室に寄るのも忘れて、そのまま家に帰ってきてしまったんだ。
急に逃げ帰るなんて、感じが悪かったかもしれない。
嫌われたり、なんだあいつって思われたりしてないかな……。
早速不安になって、はぁ……とため息をついた。
白神、ルイスさん……。
かっこよくて、本当に絵本の中から出てきた王子様みたいな人だった……。
『お前のことを大切にすると約束する。だから……俺の手をとってくれ』
大切にされるって……どんな感じなんだろう。
自分が大切にされたことがないなんて言い方は、お母さんたちに失礼かもしれないけど……あんまりピンとこない言葉。
よくわからないけど、あの人のそばにいても、いいのかな……。