魔王子さま、ご執心!① ~捨てられ少女は、極上の男に溺愛される~
私の前に来て、立ち止まった白神さん。



「お前な……昨日は名前も名乗らずにいなくなるから焦ったぞ」



その言葉は、昨日の出来事が夢ではないのだと証明してくれた。



「……級長の婚約者って、あの子……?」

「双葉星蘭ちゃんの双子のお姉ちゃんらしいよ」

「誰? 知らないけど、級長が婚約を申し込んだのも頷けるくらい美人だな」

「でも、性格悪いとか聞いたけど……」



こそこそと、他の生徒が話している声が聞こえる。

クラスメイトだけではなく、廊下にはたくさんの生徒が集まっていた。

目立つのは怖くて、萎縮してしまう。



「……ギャラリーが邪魔だな。ふたりきりで話したい。移動しよう」



白神さんはそう言って、私の肩に手をまわした。

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